古木とは
山翠舎の提供する「古木」とは、3つの条件を満たしたものです。2018年に商標登録をしています。
① 1945年以前に建てられた古民家の解体時に発生した柱、梁、桁、板、枕木などの木材
② 古木スペシャリストが虫食いや水漏れ、腐食がないか手作業で確認。現場の状態を保証
③ トレーサビリティが明確。古民家の竣工年や場所、材の入手方法が判明。
山翠舎では、あくまで材料としてのニュアンスが強い「古材」という言葉に対し、往時の職人の痕跡や生活文化を記憶したストーリー性のある文化的財産として「古木」という言葉を定義しています。バリエーションが豊富な古木は、直線が取れず、硬く、一般的な建材と比べて、加工や図面化が難しいイメージがあるかと思います。だからこそ、古木のプロフェッショナルである山翠舎にお任せください。
古木の特徴
古木とは昔の地球環境で育ち、工業化以前の方法で加工され、エイジングした木のことです。つまり、国産材で無垢素材、接着剤や塗料にも化学的な保存剤が使用されていないことを意味します。また、山翠舎で引き取られた古木は古民家の材として100年以上使われてきたものが大半を占め、伐採から200〜300年経たものがほとんどです。木は伐採から200〜300年後が最も硬いと言われ、山翠舎の古木たちは一般的な無垢の新材時よりもより硬く頑丈になっています( *1)。
特に、長野や新潟をはじめとした豪雪地方の古民家で長年の風雪に耐えてきた柱や梁は、その来歴こそが、強度や品質の高さを保証しています。長さ10m(200〜300mmΦ、古民家等の材として使われ始めたのが1894年)の松など、今や入手困難な貴重な資源ばかり取り揃えています。
囲炉裏で燻され、時とともに色を重ね、美しく黒光りする表面。匠の技の証である味わい深い手斧の跡。一本一本に刻まれた時間や場所の記憶が、丁寧な解体、手作業での下処理、乾燥保管を経て、新材にはない魅力を発露させています。
バリエーションとディティール
古木はまさに十人十色。ひとつとして同じものがありません。形状は樹種や原産地の気候だけでなく、その古民家の中での役割やほかの部材との関係性によっても異なります。
- 桁材(針葉樹)
- 差鴨居材(広葉樹)
- 丸太材(松)
- 丸太材(楓)
- 板材(針葉樹)
山翠舎は長野県、新潟県などの豪雪地帯から古木を集めています。樹種は6種類あり、最も多いのは地松で全体8割を占めます。古木の表情やサイズ、樹種や部材ごとの特徴など、古木についての詳しい情報は資料請求ページにあります古木パンフレットをご覧ください。
倉庫と工場
山翠舎は3つの古木置場をもち、合わせて5,000本の古木を管理しています。なかでも日本最大級の古木倉庫である長野県大町の倉庫兼工場は鉄工所の跡地で、敷地2,300坪、工場800坪の広さがあります。
地上4階建て、天井高13mの大空間には天井クレーンが6機取り付けられています。そのため、古民家の古木をまるごと保管、移築のための加工も行うことができます。1階にはオフィスと山翠舎3Dスキャンスタジオがあり、古木倉庫を見下す4階には448㎡の作業場があります。
古民家から採取された古木は、倉庫に直接、運びこまれます。倉庫に到着すると、一本一本、入手地や年代、古民家のどこに使われていた部分かなど記録し、タグづけします。 また、倉庫には古木プロフェッショナルスタッフが常駐するので、洗浄し、加工にあたります。
全国的に大工が減少傾向にあるなか、長野県大町市の古木工場を「大工の学校」とし、職人を養成し日本伝統の技術を継承していくプロジェクトを構想中です。
古木データ
山翠舎では古木の流通を透明化するため、手がけた古民家や保有する古木のデータ化事業を推進しています。2018年に「古木」の商標を取得し、一本ずつ異なる古木のストーリーをNFCタグに入れ古木の中に埋めこみ始めました。さらに、NFCタグとブロックチェーンの技術を融合させて強固なトレーサビリティシステムを構築し、木材の適切な加工流通を証明する国際認証「FSC(COC)」を獲得しました。
また、古木の3Dスキャンイメージや加工シミュレーションデータをデザインプロセスやクライアントとの情報共有の素材として活用しています。2024年には、京都工芸繊維大学とともに、建築解体資材の効率的な3Dスキャニングシステムや、古民家や古木の3Dデータの実用化についての共同研究を始め、古木や古民家の3Dデータ化の手法を開発しています。
また、民家や古木を「手放したい」と思っている人と、「活用したい」と思っている人をマッチングさせる情報処理装置の特許「古木のトレーサビリティシステム」を取得しました。デジタルデータを活用したトレーサビリティシステムの構築だけでなく、古民家や古木のデータ販売の未来も見据えています。
納品までの流れ
① 問い合わせフォーム
サイズ、形状、どのように使用されるのか、問い合わせフォームから具体的なイメージをお伝え下さい。図面、ラフスケッチ等を添付いただければ幸いです。
②候補となる古木情報の送付
古木の選択肢は5,000本あります。日本最大級の古木倉庫から、古木エキスパートが最適な古木を見つけ出し、サイズ、形状、写真など、デザインの決定に必要な情報をお送り致します。
③ 商談(見積作成、納期の確認)
古木の選定後、表面の仕上げ、加工の有無、配送の方法などについてお伺いし、見積書を作成します。 候補古木と見積が確定したことで、受注となり、作業と納期に向けた段取りを進めていきます。オプションにて古木3Dスキャンも追加が可能です。その場合、山翠舎3Dスキャンスタジオへ古木を運搬・下処理・採寸し、スキャニング後、3Dデータを調整して、3Dデータを納品します。古木3Dスキャンデータがあることで、より具体的に設計者様にデザインをご検討頂くことが出来ます。
④加工
山翠舎には古木の扱いを熟知した職人が常駐しています。古木とデザインが確定したら、すぐに加工、製材、仕上げ、塗装に取り掛かります。長さカットだけでなく、古木のスライス、幅切りなど細かな加工に対応でき、現場の納品後、そのまま使えるようにすることもできます。
⑤納品
大きく3通りの納品手法がございます。
1.自社トラック専用便にて配送
2.宅配便による配送(長さが4m未満、少数の場合)
3.弊社倉庫にて直接お渡し
古木のトレーサビリティの仕組みを導入し、一本一本のサイズや形状・樹種・来歴などを監理しているため、納品後も、お客様からのご質問などに迅速に対応できます。
山翠舎と古木
1985年
アパレルブランド「オクトパスアーミー」のために海外から古材を輸入し、古材を活用した施工を始める
オクトパスアーミー長野店で成功を納め、以後、古材を用いて、国内外50店舗の設計施工に従事
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2004年
古材を活用した店舗デザイン事業を開始
東急ハンズ新宿店6Fで古材売り場を開設
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2006年
古材買取販売開始。長野県の補助金対象事業に認定される
古材倉庫を開設
古材JAPAN開設
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2009年
東京営業所を東京都渋谷区広尾に移転
自社でショールームを展開
古材を活用した店舗デザイン事業を開始
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2010年
オリジナル塗料「古色オイル」を企画、旧東急ハンズ新宿店にて販売開始
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2015年
長野県大町市に日本最大の古材倉庫兼工場を開設
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2017年
「KOBOKU通信」開始
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2018年
古木で商標取得
「こぼく/古木」(商標登録:6031308号)
「KOBOKU」(商標登録6031308号)
古木、エコマーク認定取得
小売ブランド「古木屋松治郎」がスタート
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2019年
FSC(COC)認証を古木で取得(ライセンス番号:FSC® C150984、認証登録番号:SA-COC-007193)
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2020年
「古民家・古木サーキュラー・エコノミー」でグッドデザイン賞受賞
「T-HOUSE New Balance」竣工
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2022年
「SANSUI」を立ち上げ、古木の海外プロダクト事業開始
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2024年
「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」(2024/4/24〜9/1、東京・森美術館)の什器一式を受注し、制作協力
京都工芸繊維大学と「3Dスキャニングシステムの自動化」の共同研究を開始
長野市新技術等共同研究開発事業補助金(ソフトウェア枠)に採択
『古木のトレーサビリティシステム』に関する情報処理装置ついて、特許取得(特許第7521887号)